ニューヨークと東京、2つの先行指標都市でトレンド発掘を続けるツタガワ・アンド・アソシエーツがお届けする、小売りに携わるマーケッターのための考察録
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10.5.2006
商業施設にとっての「立ち寄り型エクササイズスタジオ」の効用

気軽に取り組め、体に負担をかけず、続けることがストレスにならず、効果が実感できること。通常の生活者の暮らしに浸透するエクササイズの基本的条件である。このところ愛好者が増え続けているヨガやピラティスはそれを満たすものであるが、もうひとつ見逃せないのがサーキットトレーニングである。これは、円形に配置した8〜10種類ほどのトレーニングマシンと、インターバル(マット上での軽いジョギング)を、30秒、あるいは1分ごとに交互に行っていくもので、30分が1セット。短時間で効率よく脂肪を燃焼させることのできる有酸素運動で、主に女性に適したトレーニングとされている。アメリカでは既によく知られ、専用のスタジオも数多く展開されてきているが、そのアメリカにおける最大手、女性専用の「カーブス」が昨年日本にも進出し、急激な広がりを見せている。

「カーブス」

サーキットトレーニングは1セット、あるいは2セット・1時間を週に数回行うのが効果的と言われている。従って専用スタジオでは入会金の他に月額利用料を支払えば、回数などの制限なく自由に利用できる料金システムが基本になっている。また、短時間であることもあって、過激で長時間にわたるトレーニングのように大量の汗をかくことも少ないから、トレーニングが終わればそのまますぐにスタジオを後にできる。だからシャワールームのないところも多い。さらには土足での利用が可能なところもあり、つまりスニーカーにストレッチパンツにTシャツといった普段着で食料品の買い物などへ出かけ、そのままふらりと立ち寄る感覚でトレーニングできてしまう、まさにそんな「最寄り」感覚の手軽さが大きな魅力になっているのである。

こうしてみると、サーキットトレーニング・スタジオは郊外立地の商業施設にとって新たな来館促進装置としての可能性を持つことに気づく。つまり、顧客軸である足元商圏に住む熟年女性たちのきわめて日常的で習慣的な利用に伴う、より頻度の高い来館を期待することができる。実際、「カーブス」でも地方都市を中心に大型量販店や地元密着型のSCなどへも出店してきており、今春に開業した新たなSC、アリオ亀有にも、女性専用のサーキットトレーニング・スタジオ「ボディーズ」が導入されている。ちなみに「ボディーズ」ではシューズのレンタルもあり、買い物途中に思い立ったような場合など、気軽な利用促進への配慮が見られる。

ちょいと寄って、やっていこうか。こうした「最寄り」感覚での利用はヨガやピラティスなどのスタジオにも共通することであり、これらの利用頻度はヘアサロンやネイルサロンといったビューティーサービスよりも高いに違いない。加えてこれらの人気エクササイズスタジオは比較的小さなスペースで成立する。そのことは商業施設として導入しやすいという利点になる。となれば、立地を問わず、商業施設にとってこの種の「立ち寄り型エクササイズスタジオ」は来館の動機作りという点での新たな施策視点になるのである。





 

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