ニューヨークと東京、2つの先行指標都市でトレンド発掘を続けるツタガワ・アンド・アソシエーツがお届けする、小売りに携わるマーケッターのための考察録
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9.3.2009
プラレール50周年記念とホームパーティー好適品を握手させる
電車型ロールケーキ「プラレール・エクスプレスロール」

今年は「50周年」の言葉を目にし、耳にすることの多い年である。振り返ってみると、2〜3年前あたりから、今日なお愛されているモノ、コトのなかに「50周年」を迎えるものが目につくようになってきているのだが、1950年代後半が消費や風俗のうえで今日につながる起点になっているというのは興味深いことである。そんななか今年50周年を迎えたものに鉄道玩具の「プラレール」がある。これはタカラトミーのロングライフ商品で、1959年に原型である「プラスチック汽車・レールセット」が発売されてから身近な鉄道をテーマにする玩具として愛され続け、今や親子3世代にわたり継承されてきた、言わば国民的オモチャである。発売当時から現在まで青いレールの規格は統一されており、そのこともまたロングライフ商品になっている要因のひとつであろう。

プラレール50周年を祝う企画で興味を惹くのが、長さ約50cmの電車型ロールケーキ「プラレール・エクスプレスロール」である。これはタカラトミーと、ハチミツやメイプルシロップなどのナチュラルスウィーツメーカーである株式会社クインビーガーデン(QBG)のコラボレーションによる企画で、QBGの直営洋菓子店「QBGル・パティシエ・タカギ」(QBGと有名パティシエの高木康政氏とのコラボレーションによる店)でエクスクルーシヴ商品として打ち出されているものである。ちなみにこの店はエキュート品川にあり、鉄道発祥の地、品川を拠点にこの夏開催された様々なプラレール50周年記念のイベントのコンテンツのひとつにもなったのである。

「QBGル・パティシエ・タカギ」での「プラレール・エクスプレスロール」の訴求。

長さ約50cmのロールケーキという形状が汽車・列車をイメージさせ、プラレールとうまく結びつくのだが、この点を強調するように、先頭部分には「プラレール50周年」のチョコレート製エンブレムを配置。表面にはチョコレートで電車のパンタグラフや車輪などをイメージしたデコレーションを施している。こうしたプラレールとしてのメイクアップは人気イラストレーター宇田川一美さんのイラストによるパッケージにも及んでいる。それは今年で全通120周年の東海道線の電車と、品川駅を起点として東京都心部を回る山手線の電車を描いたもので、イラストには駅員や工事作業をしているプラレール専用フィギュア「プラキッズ」も登場している。価格は2,940円。それにつけても、持ち帰るのに苦労しそうな長さが50cmものケーキが売れるものなのかが気になるのだが、観察してみると、大事そうに持ち帰る男性客の姿が結構な頻度で見られる。実際、売れ行きは好調のようで、当初の展開期間を延長して、50周年が終わる来年3月末まで販売されると言う。

親子で話題をシェアできる、誰もが知っているということで子供の誕生会が盛り上がるなど、「プラレール・エクスプレスロール」には生活者にちょっとした楽しみへの気づきを与えるものがある。そこには、長さのあるロールケーキは大人数で切り分けるに適した「ホームパーティー好適品」という点への着目もある。こうしてみると、今を押さえた優れた商品企画と言えるのである





 

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